(8)しのぎを削るトップ棋士 


囲碁エッセイ(8

「しのぎを削るトップ棋士たち」

         (執筆者:小山敏夫)




        写真は歴代の本因坊(寂光寺)


現在日本では、囲碁棋士の数は500人ぐらいと言われ、日本棋院のホームページを見ると、9段から初段までの棋士の一覧表が掲載されています。そして、毎年、東京・中部・関西中心に数名のプロ棋士が誕生していますが、下記の表に示したように、500人のトップに立つ棋士は20数名でしょうか。 

 このピラミッド構造は、NHK杯のトーナメント表を見るとよくわかります。NHK杯の創設と歴史を見ると、初めは、1946年からラジオのNHK第2放送で始まり、日曜午後1時から、囲碁講座と、大手合の好局の解説を、次に本因坊戦や十番碁も取り上げるようになり、囲碁が定期的に放送されていたようです。 

 そして現在のような形になるのは、1953年のトーナメント形式の「NHK杯争奪囲碁トーナメント」で、最初の出場者は8人。テレビでは、1961年4月に高川格とアマ本因坊村上文祥によるプロアマ本因坊の2子局が行われ、現在の形では、1962年度第10回からNHK杯トーナメントとしてテレビ放送に切り替えられています。 

 このようにNHK杯には、王座戦や王冠杯と同じように古い歴史がありますが(歴史的に最も古い本因坊戦については「囲碁エッセイ6の『本因坊・寂光寺』を参照)、現在は50人が出場資格を与えられ、出場資格は、前期優勝者、準優勝者、名誉NHK杯、タイトルホールダー、女流タイトルホールダーと、その他過去の実績と賞金額に応じて選ばれるため、50人の棋士名を見ると、現在のトップ棋士全体像がよくわかります。先日、2019年度のNHK杯の決勝が行われ、井山裕太が、前年覇者の一力遼から優勝杯を奪還しましたが、昨年の不調から一転して相当復調してきている印象を受けます。

 因みに、7冠とNHK杯を制した2017年の井山の賞金額は15,981万円、3冠に終わった昨年の賞金額は10,825万円でしたが、ここ10年ほどはいずれも年度の賞金王となっています。 

 このトップへの道のりと、囲碁全体の組織については稿をあらためたいと思いますが、以下主に日本棋院のホームページを参考にして作成した、タイトルホールダーと関連事項の一覧表です。

2020年4月1日現在

囲碁7大タイトル戦

タイトル名発足年賞金(万円)タイトル保持者主催(後援)
本因坊戦19412800井山 裕太毎日新聞
名人戦19763100芝野虎丸朝日新聞社
碁聖戦1976800羽根 直樹新聞囲碁連盟
王座戦19531400芝野虎丸日本経済新聞
十段戦1962700村川大介産経新聞
天元戦19761300井山 裕太新聞3社連合
棋聖戦19774500井山 裕太読売新聞

棋聖戦・王座戦・十段戦・天元戦は、トーナメント戦による勝者が、
タイトル保持者と5番勝負を行い優勝者を決める方式。


他の主なタイトル戦(トーナメント)

阿含・桐山杯19941000張 挧阿含宗
新人王戦1976200孫 喆しんぶん赤旗
NHK杯1953500井山 裕太NHK
王冠杯1953170伊田 篤史中日新聞
竜星戦1991600一力 遼囲碁将棋チャンネル
囲碁マスターズカップ2011500趙治勲フマキラー
若鯉戦2006300平田 智也広島アルミニューム工業
おかげ杯2010300芝野虎丸濱田総業
SGW杯中庸戦2018200黄 翊祖セントグランデW
グランドチャンピオン戦2014100井山 裕太日本棋院

阿含・桐山杯は、プロとアマ(8人)が対戦する全日本早碁選手権


女流棋戦

女流本因坊戦1982550上野 愛咲美共同通信社他
女流名人戦1989350藤沢 里菜産経新聞他
女流棋聖戦1998500鈴木 歩NTTドコモ
扇興杯女流最強戦2016800藤沢 里菜センコーグループホールディング
女流立葵杯2014700藤沢 里菜恩知会
注 女流名人戦2019年終了




(7)碁のうた 碁のこころ

0 件のコメント: